長崎市の新庁舎建設基本設計の受託者を決定する公開プレゼンテーションが催され、受託者が決定しました。
(2017年6月5日現在、審査講評及び会議録については、後日掲載します、となっています)
提案の内容は技術提案書の通りです。ただし、以下の但し書きがついています。
※この技術提案は、設計者を選定するためのものであり、そのまま設計案となるものではありません。
今後、広くご意見をいただきながら、長崎市と設計者で詳細な設計を進めていきます。
ということで、これからの議論が予定されているのかもしれませんが、少し気になることを備忘録として。なお、公開プレゼンに参加された事業者の皆さんは、長崎市の長崎市新庁舎建設基本計画に基づいて提案したにすぎません。したがって、以下のメモは、技術提案への批判等ではありません。
- 20階建て、90mという高さは「地域力でのまちなか再生-まちなか再生計画策定検討委員会報告書」や「長崎市まちなか再生ガイドライン」に示された、すり鉢底から山々の稜線が見えること、すり鉢の斜面から海が見渡せること等を阻害するのではないか。また、世界新三大夜景に認定されたことを機に紹介されるようになった立山からの眺望を害すのではないか。
- 長崎市では地域コミュニティの仕組みづくりに併せて、行政サテライトの再編成が予定されており、本庁-総合事務所(4カ所)-地域センター(20カ所)という体制が想定されている。そして、原則的に市民の手続きと相談は地域センターで行うとされているため、本庁にどの程度窓口がいるのか。ちなみに、長崎市新市庁舎建設基本計画では、行政サテライト機能の再編成により60名の職員が新庁舎に配置されなくなる(p.32)とだけ記述されており、機能面から建物の設計を規定するような記述は見当たらない。
- 2018年度より、長崎市市民活動センター「ランタナ」の直営から指定管理制度への移行が予定されており、今後も今までと同じ旧市長公舎の利用が予定されている。また、交流拠点施設の整備検討では、同施設に市民交流の機能を持たせることが、(仮称)長崎市交流拠点施設整備・運営事業 募集要項 に謳われている。市民交流という言葉の定義は不明だが、市民活動や協働とは無関係ではないと考えられる。長崎市における市民活動もしくは協働の拠点を何処に求めるのか。旧市長公舎、新市庁舎、交流拠点施設、市役所跡、総合事務所(仮)、地域センター(仮)・・・。
- 交流拠点施設の整備検討においては、会議等の開催にかかる機能の高い利便性を実現するためにワンストップが望ましいと考えられますが、アフターコンベンションについては、できるだけまちなかの回遊を促すことが求められます。これと同じように、市民を市庁舎に閉じ込めるような行政手続き等以外の過大な機能を備えることが望ましいのかどうかについて、十分な検討がいるのではないか。
以上が市庁舎の建て替えにあたって気になることの一部です。市を俯瞰できる市民の声も聞きながら、職員の皆さんの仕事の価値が高まるような市役所となることを期待しています!(^^)
余談になりますが、市庁舎以上のビッグプロジェクトである交流拠点施設の整備検討も進んでいます。現在、公募がスタートし、募集要項等に関する質問に対する回答が公表されたところですが、こちらにも気になることが・・・。募集要項等に関する質問に対する回答を見ると、公募の現状がよく分かりますので、時間のある方はご覧ください(^^;)
たとえば、地域経済にかかる記述について、提案様式集にはMICE、ホテル、その他民間収益施設それぞれの経済波及効果を記載することとなっていました。しかし、募集要項等に関する質問に対する回答を見ると、応募者からMICEについて
経済波及効果の試算が必要とありますが、算出方法や適用する 範囲が異なるだけで、非常に大きな数値の違いが出るため、公平 な審査を行う上で障害となる可能性があります。算出に必要な計算式や考え方などをお示しください。難しい場合は、経済波及効果の項目をなくしていただくようお願いたします。
と指摘され、
経済波及効果の項目は削除することとします。事業者決定前後に関わらず、市が提案内容に基づく経済波及効果を算出するにあたり、必要な資料等の提出等ご 協力いただくことになります。
と回答しています。ホテルやその他民間収益施設の部分は削除されていないので、何でMICEだけ削除?というツッコミも考えられますが、地域経済の観点から気になるのは、市が波及効果を計算するためにどんな資料を応募者に請求するのかです。単純にも複雑にもなるこの項目の取り扱いに個人的には注目しています!
今の長崎市、ソフトもハードも今までの枠組みを変える大きな動きが目白押しです。お世辞にも十分だとは言い難い庁内の横連携を、市の目的を共有した上で進めください!